今日は占いとまったく関係のない話です。
原発が爆発した後あたりから、ちょくちょく外貨建ての債券や投信を買い増しています。
サマーズのおっちゃんが言うとおり、日本がものすごく貧しい国になったとしたら、我々が持っている程度のミジンコみたいな外貨でも、いつかはお国にとって役に立つ日が来るでしょう。
まあ額面が小さいので、家族が「留学したいけど円安で何も出来ない…」とか言い出した時の備えですね。現地での教科書代いくらいにはなるでしょう。
「これで有為の人材に育ってくれれば、日本のためにもしめたもの」です。
ところで、高金利に惹かれて外貨建て債券を買ってしまう方も多いと思います。
しかし外債投資には落とし穴が多くあります。
ご注意申し上げるのは、為替リスクではなく為替手数料と税金です。
こんなことを書くと「為替リスクが一番大事だろ!」と言われそうですが、円高になると思って外債を買う人間は基本的にいないだろうし、高利回り債権であれば相当な円高にも耐えられるうえ、外貨で償還を受けて寝かせておいてもいいわけで、お財布へのダメージはともかく、リスクを明示化してすでに織り込んでいるわけですから、問題としてはあまり深刻ではありません。
逆に、気がつかないうちに多大なマイナスを背負っているのが為替手数料と税金です。
例えば小生が持っている4年満期・年利7.4%のランド建て債券ですが、例えば10万ランド分を持っていれば、確実に(10万×7.4%)×4の利息を受けることが出来ます。
単純に計算すると、元利合計は12万9600ランドですから、元本に対して29.6%の利息が付いたことになります。
ところが、この利息に関しては20%の税金がかかります。実際は円換算した額の20%を納めることになると思いますが、ここでは単純に、現地源泉税としてランドベースで20%が引かれ、日本国に対しては納税する必要がなかったと仮定すると、
29600×0.80=23680
ということで、23.6%まで利回りが低下してしまいました。
これでもまだまだ高利回りなのですが、問題は為替手数料です。
大体の証券会社では、ランドは往復1円程度かかるのではないでしょうか。
であれば、円をランドに転換する時点・ランドを円を戻す時点で、1ランドにつき50銭が引かれる(購入時に上乗せ・売却時に切り取り)することになります。単純化のため、金利が一括で満期時に支払われ、1ランドが恒常的に12円であり、税金はランドベースで先に支払われていると仮定とするならば、
購入価格(円で)は1250000円(12円のランドを12.5で買わされた)
元利合計・税引き後合計は123680×11.5=1422320(12円のランドを11.5で買い取られた)
円ベースの実質利回りは13.78%、年利換算すると3.44%
と、当初の目論見の半分以下となってしまうわけです。
小生は往復60銭の証券会社で買っているのと、そもそも日本がゆるく破綻時して、かなりの円安となった際の学資保険として持っているので気にしませんが、当該通貨のスワップポイントによっては、FXで単純に外貨を買い入れた方が良い場合も多いでしょう。試しに計算してみると、ランドであればだいたい年利5%程度になると思います。
ただし、ハイパーインフレとなった場合は逆スワップがかかったり、円転自体が不可能になる可能性もあるので、日本破綻時の保険のつもりで10年20年と持っておく、のであれば現物のほうがいいかもしれません。
※債券を償還ではなく売却で決済すれば、以降の受取利息に対する税金はかかりませんが、ややこしいのでこのケースは割愛します。
米ドル建てやユーロ建てであれば、為替手数料は行って来いで0.5%程度です。しかしランドでは往復1円、トルコリラに至っては往復5円という証券会社もあります。
というわけで、ぱっと見高利回りの外債にはご用心!です。
結論として、高利回りの外貨建て債券は往々にして為替手数料が高いので、残存期間が短い既発債や、商品としてあるかどうかわかりませんが、1年2年で満期になってしまう新発債を買ってはいけない、ということです。また、途中売却も基本的には御法度でしょう。保有期間にかかわらず為替手数料は一定なので、満期まで持てば為替手数料の割合が償還総額に対してより少なくなります。
為替手数料を加味した税引き後の最終利回りが4%を割り込むようでしたら、豪ドルMMFやFXなどのほうが、投資期間や為替相場の推移によってはですが、有利な投資となるケースが多いかと思います。
それから蛇足ながら、この話は外債だけでなく外貨預金にも当てはまります。
某掲示板で「年利2.6%、なのに片道1円10銭も取られる豪ドル預金があった」という投稿を見たことがありますが、おそらく「○年の外貨定期預金をはじめると、当初の3ヶ月は年利回り換算15%!」といった類のプロモーションを別で打っているのでしょう。
2011年04月08日
書いた人 田中 :
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